すめば都

前回までの全6話で、Uターンした前後の私の体験を書かせていただきました。

今回は、Uターン前後の話ではなく、あれから10年経った”現在の”私の心境を聞いていただければと思います。

心境の変化の始まり

Uターンした直後は、不便さを感じイライラしていました。

交通手段、遊びに行くところ、食べに行くところ、消費するところ、情報・・・。何もかもが母体数の少ない限られた中からの選択です。

承知していたはずなのに、いざ生活してみると思っていた以上の不便さにイライラしました。(やっぱり頭で想像するのと、実際やってみるのは違いますね。)

今から思えば、選択肢の少なさに「もっと都会なら良い選択が出来たのではないか」という可能性が狭まることへのイライラだったのではないかと思います。

しかしいくらイライラしてみても、無いものはどうしようもない、ということを悟り始めます(笑)

違うところをみる

イライラ疲れした私がまず始めたのは、無いものに焦点をあてるのではなくて、違うところを見てみようとしたことでした。

私は買い物が好きだったので都会にいる時は休日の度にデパートに行っていました。しかしここにはデパートはありません。

そこで思いついたのが、逆に都会では車を持っていなくて出来なかったドライブを休日にしようとしたことです。

運転の練習にもなるし、道も覚えるし、一石二鳥です。

やり始めるとハマり始め、休日が楽しくなるようになってきました。

車で遠出できたりすると、公共交通機関沿線以外の場所にも、好きな時間に自由に、更に天候を気にせず行けるので行動範囲が広がります。当時も成人式から十分すぎるくらい経過していましたが(笑)、少し自分が「大人」になったような成長したような気分になったのを覚えています。

『伸びしろパン』

それでもどうしても、上記の代替案Bプランでは、私の欲が満たされないことがあります(笑)

私の場合、パンでした。

最初の頃は隣町まで車で50分かけて買いに行ったりしていましたが、日常で食べることはできません。

なので、苦肉の策で自分で作る事にしました。

そうです。どうしても欲しけりゃ、自分で作ればいいのです!!
もう極論です!

最初は、これはなんだ!という代物が出来ましたが、何度も挑戦するうちに許せる範囲のパンができるようになってきました。

それに副産物として得たものがあります。それは、「自分で作る喜び」です。下手くそであろうがまずかろうが(美味しいのが一番ですが)、自分が材料から選んでいるので安全なことは保障済みです。

まだ「美味しいパン」には程遠いので、『伸びしろパン』と称し試行錯誤している段階ですが、その過程もけっこう楽しくて好きです。

過程を含めて楽しめる、というのは、パンに限らず何かを作り出す上での醍醐味です。生活に追われていると過程までなかなか楽しむことは出来ません。いつもの日常と違った時間軸の世界を持てたのも、きっかけは不便な生活だったからなので、結局最後まで分からないものですね。

欲から解放??ミニマムな生き方

欲深い方朗報です!私は、Uターンしてから、欲からだいぶ解放されたように思います。

今から思えば、私は自覚がないくらい欲深かったんだと思います。

都会にいるときは、毎シーズン洋服や化粧品を買っていました。それは、旬を誰よりも早く取り入れることが情報を掌握していることであり「イケている」事だと思っていたからです。

今はネットで洋服や化粧品もすぐに購入できる時代です。
しかし、私は試着をしたり試さないと購入できないタイプの人間なので、どうしても”自分が”商品のある所へ赴かなければなりません。
なので自然と購入する機会も減っていきました。

今となっては、当時情報を収集し掌握している気でいたけれど、情報に踊らされていた部分も大いにあったなぁと思います。旬のものをいち早く取り入れて自分のものにした気でいましたが、自分の中の自己顕示欲を刺激されまんまと浪費させられていたなと思います。

情報は浴びれば浴びるほど良いのではなく、自分の器にあった情報量が大切で、適量であるときはじめてコントロール出来るのではないかと思いました。

今では、欲から解放されたからか、収納スペースも当時の10分の1くらいの量になりました。

Uターン当初は選択肢が少ない事が不幸であることのように思えましたが、今は選択肢が少ない事こそが幸せになる秘訣だと思っています。
選択するという判断は、意外に労力を要します。
不要な判断をなるべくしないことがストレスを減らし、自分らしく居心地のよい生活が出来ることかと思います。

変わりゆく価値観

Uターンしてから、私は随分と価値観も変わってきました。

すぐに変わったわけではないので、過渡期はかなり苦しみました。それでもこれから先も変化していくであろう将来の自分をワクワクしながら信じていれるのは、このUターン後の自分の変化に満足しているからだと思います。

これからもUターン先で変わり続けていくであろう自分の記録を綴っていきたいと思います。

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